
CHORD ELECTRONICS
Chord Mojo 2 ポータブルDAC・ヘッドホンアンプ
EDITORIAL SCORE
100点満点で評価
ポータブルDACの最高峰。一度聴くと戻れない。沼の終着駅候補。
※価格・在庫は変動します。最新情報はAmazonでご確認ください。
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こんな人におすすめ
本格的な高音質を求める愛好家、出張・移動が多い音楽好き
Highlights
主な特徴
- 独自FPGA(Xilinx Artix 7)処理
- 768kHz/32bit・DSD256対応
- UHD DSPで4バンドEQ
- 8時間バッテリー駆動
- コンパクトポータブル
Strengths
良い点
- +FPGA独自処理の唯一無二の音
- +ポータブルで8時間動作
- +据え置き機を脅かす音質
Trade-offs
気になる点
- −価格が高い
- −操作系に慣れが必要
- −Bluetooth利用にはPoly別売
Specifications
スペック
| DAC | 独自FPGA(Xilinx Artix 7) |
|---|---|
| 出力 | 3.5mm × 2 + 6.3mm |
| 最大解像度 | 32bit/768kHz・DSD256 |
| バッテリー | 8時間 |
| 寸法 | 83×62×22mm |
| 重量 | 185g |
Editorial Review
編集部レビュー
Chord Mojo 2は、英国Chord Electronicsが手掛けるポータブルDAC・ヘッドホンアンプの最高峰だ。市販のDACチップを使わず、すべての信号処理を独自設計のFPGA(プログラマブル半導体)で行うという、ハイエンドオーディオでも極めて稀なアプローチを取る。価格は約9万円と一般的なポータブル機の枠を大きく超えるが、ここから得られる音は据え置きハイエンドDACに匹敵し、「ポータブルでこの音」という体験は他の何物にも代えがたい。沼の終着駅、と呼ばれるだけの実体を伴った一台である。
FPGA独自処理:DACチップを使わない設計思想
Mojo 2の核心は、信号処理に Xilinx Artix 7 FPGA を採用し、Chord社が独自開発した「WTA(Watts Transient Aligned)フィルター」を実装している点にある。一般的なDACが既製のDACチップ(ESS Sabre、AKM、Burr-Brownなど)を使うのに対し、Chordは「FPGAでD/A変換ロジックそのものを自社設計する」という発想を貫いてきた。 このアプローチの恩恵は、楽音の立ち上がりとディテール表現に表れる。ピアノの打鍵の瞬間、ドラムのアタック、ボーカルの息遣いといった「音の輪郭」が一段クリアに描かれ、音楽の流れに込められた意図が伝わりやすい。32bit/768kHz・DSD256対応、最大40,960タップのフィルター処理は、同価格帯のDACチップ採用機と一線を画す再生クオリティを生んでいる。
UHD DSPと音質チューニング:4バンドEQの自在さ
Mojo 2の前モデル(初代Mojo)から進化した最大のポイントが「UHD DSP」機能だ。低域・中低域・中高域・高域の4バンドそれぞれを±9dB単位で調整でき、しかもこの処理はFPGA内で完結するためデジタル的な劣化を最小限に抑えている。 ハイエンドDACでEQ機能を持つ機種は珍しく、しかもMojo 2のように「DSP処理しても音質劣化を感じにくい」レベルで実装されているのは画期的。録音状態の悪い古い音源を救済したり、ヘッドホンの帯域特性を補正したり、好みの傾向に合わせて全体をシェイピングしたりと、活用範囲は幅広い。 操作系はChord伝統の「光るボタン」インターフェースで、慣れるまでは独特だが、慣れると音量・ソース切替・EQ調整・チャージ状態確認をすべて視覚的に把握できる。色で情報を伝える設計思想は他のポータブル機にはない美しさがある。
ポータブル運用とバッテリー駆動:据置に迫る音をどこでも
Mojo 2は寸法83×62×22mm・重量185gとポケットに収まるサイズで、内蔵バッテリーで最大8時間駆動する。USB-C入力でスマホ・PC・タブレットと接続でき、出力は3.5mmヘッドホン端子×2と6.3mmジャック搭載。スマホとIEM(カスタムイヤモニ)を組み合わせた高音質ポータブルリスニング環境を、本機1台でハイエンドクラスに引き上げられる。 ワイヤレス(Bluetooth)入力には対応しないが、別売の専用モジュール「Poly」を装着すれば、ストリーマーとしてスマホからの無線入力やネットワーク再生にも対応可能。最初はDACとして使い、必要になったらPolyを追加して機能を拡張する、というステップアップの道も開かれている。 据え置き運用も自然で、家ではPCに繋いで据置DACとして、外出時はバッテリー駆動でポータブルとして――1台で2用途をハイレベルに兼ねる稀有な機種だ。
競合機との比較
ポータブルDACの直接的な比較対象は iFi xDSD Gryphon、FiiO Q15、Cayin RU7 などになるが、独自FPGA処理の音質傾向は本機にしかない個性。サウンドの方向性は「分析的でディテール重視」で、Chordサウンドが好きかどうかが選択の分岐点になる。 据置DACのChord Hugo 2(実売40万円超)は本機の上位機にあたるが、Mojo 2でも据置エントリークラスの音質は十分に超えており、9万円の投資としての満足度は極めて高い。 本記事内のiFi ZEN DAC V2と比較すると、価格は約4倍。ZEN DAC V2は「机上で固定運用するヘッドホンユーザーの入門〜中級機」、Mojo 2は「ポータブルでも据置でも妥協したくない上級者の到達点」と、想定される購入層が大きく異なる。価格差を「移動中も含めて高音質を持ち歩きたいか」という基準で判断すると、選択がしやすい。
Verdict
結論
Chord Mojo 2は「いまある音楽体験を一段上に押し上げたい」「最終的な到達点を見つけたい」という愛好家のための一台だ。価格は約9万円とポータブル機の枠を超えるが、ここから先に進むには倍以上の予算が必要になる――そういう意味で、本機は「コスパが破綻する直前の最後の選択肢」と位置づけられる。出張・通勤・カフェ滞在といった「家以外でも本気で音楽を聴きたい」場面が日常にある人にとって、Mojo 2はその要求に最高水準で応える。逆に運用が完全に据え置き中心なら、同等以上の据置DACを検討する方が合理的。「持ち歩ける据置クオリティ」という稀有な価値に9万円を投じる意味を見出せる人にとっては、間違いなく満足度の高い投資となる。
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